千葉市感染症動向調査(2025年15週:4/7~13)

千葉市の感染症動向調査の最新版が出ました。

総括

インフルエンザ新型コロナは減少傾向にあるようです。
感染性胃腸炎も少なくはないですが、一時の流行に比べ減少傾向で、ひと段落したかなという感じです。

現在溶連菌感染症伝染性紅斑(りんご病)百日咳が流行しており注意が必要です。

今回は伝染性紅斑について少しだけ書いてみます。

伝染性紅斑(りんご病)

伝染性紅斑とは

 伝染性紅斑はりんご病と一般では言われる感染症です。ヒトパルボウイルスB19 (Human parvovirus B19)というウイルスが原因で、子供の間で流行し、ほっぺが真っ赤になり全身に薄いレース状の赤い斑点が出るのが特徴です。
 実はそれより1週間ほど前に感冒症状があり、その頃に最も感染性が高まる病気なのですが、感冒症状だけで発疹を伴わないうえ、お子さんによっては無症状で経過してしまうため、感染に気づかない子もいます。そのため感染を未然に防ぐ手立てがあまりありません。こまめな手洗いうがい、咳エチケットくらいでしょうか。
 発疹が出る頃には感染力も弱まっており、本人が元気ならばその場で登園や登校の許可を出すことが多いです。ほっぺが真っ赤になり、全身がいつもより赤いな、と感じたら一度ご相談ください。

例年に比べ患者数が多い状況が続いている

伝染性紅斑は2024年の10月ごろから患者数が増え始め、高止まりしている状況です。(下図)

 発症者はほとんどが10歳未満です(下図)。
 伝染性紅斑は終生免疫といって、一度感染すると基本的に生涯にわたり免疫を持ち続けるため、大人は子供の頃にすでに罹っており、現在は罹りにくくなっていることが理由です。

大人が感染すると症状が異なる

 ただ、罹りにくいだけで、罹らない訳ではありません。
 大人が伝染性紅斑に感染すると、子供とは異なる症状が出現します。
 主な症状は皮疹、関節痛、発熱、浮腫など。
 皮疹も重く、また関節痛や発熱なども出現し、感染症としてはやや重い症状が出ます。ただ後遺症などは残すことなく改善することが一般的です。
 治療薬などはありません。対症療法で対処します。

妊婦の感染には注意

 大人の伝染性紅斑で注意が必要なのは妊婦さんへの感染です。
 妊娠中に伝染性紅斑に感染すると、30%程度に胎児の異常が出現し、10%程度で胎児死亡があると報告されています。
 ウイルス性の感冒に関しては感染予防でマスクをしていても、感染を完全に防ぐことはできないと言われています。

 ですので、妊婦さんとこれから生まれてくる新しい命を守るためには、
たとえば
自分の子が伝染性紅斑と診断され、まだ感冒症状が残っている。
保育園や幼稚園で伝染性紅斑が流行しており、自分の子に感冒症状がある。
感冒症状で小児科にかかったら、伝染性紅斑の可能性があると言われた。
などの状況の時には、お子さんの症状が改善するまでは、なるべく人混みの中に出かけないように心がけ、やむをえず外出しなければならないときは、お子さんにマスクをつけさせていただくのが望ましいです。
 そして身の回りに妊婦さんがいらっしゃる際には、接触を極力避け、接触後に感染が判明した時にはその事実をなるべく早く妊婦さんに伝えていただくのが良いでしょう。

 皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。