オンライン順番とりシステムを導入しました。

今週導入!

今週月曜よりオンライン順番とりシステムを導入しました。

まだスタッフも不慣れな部分があったり、決めていたやり方もいまいちうまくいかず別のやり方を試したりするなど、手探りの状態が続いておりますが、今週は受付を止めることなく全ての患者さんを受け入れることができました。(正確には11時半直前にオンライン順番とりは終了してしまいました)

朝並んでいただき、一定の人数に達したらそこで受付終了していた状態から、一歩改善したと思っています。

これにより患者さんの待ち時間などの負担が軽くなり、また効率化により多くの患者さんを診療できるようになると良いな、と思っています。

システム導入への想い

受診行動や常識の変化

私は、コロナ禍以降、患者さんの受診行動や常識が変わったなという感覚を持っています。

コロナ禍以前なら自宅で経過を見ていたような軽い感冒症状の方も外来を受診されるようになりました。

感染症に対する恐怖や、病気に対する意識の変化、職場や学校で検査を促されるようになった、など、いろいろな理由があると思います。

その急激な変化に対し、私たち医療機関はうまく対応できていなかったと反省しています。

もともとかかりつけ患者さん8割、急な体調不良の患者さん2割程度だった外来が、かかりつけ患者さんの人数は変わらないまま、それと同じくらいの人数の体調不良の患者さんが来院されるようになりました。さらにこの両者を導線から分けなければならない、と常識が変わりました。たった数年前には風邪の小さなお子さんと、かかりつけの高齢者の患者さんが隣同士で待合に座っていたのです。今となってはあの景色が信じられません。

その受診行動や常識の変化に対し、多くの医療機関が患者さんの受診制限で対応してきました。もともと来院されていた患者さんの数に見合っただけの医師数、スタッフ数で運用していたところに、急に患者さんが増える事態が生じたのですが、それに対し人員やリソースを急に増やすことができなかったためです(もともと医療業界は人手不足なのです)。当院も多分に漏れず人員補充が間に合わず、やむなく受診制限で対応してきたわけですが、正直ずっと歯がゆい思いでおりました。

導入までの葛藤

それに対し当院では頑張って人員補充を行っていましたが、医師の補充はなかなかままならず、またスタッフを補充しても今度は医院が狭くて、スタッフがうまく立ち回れないという問題が生じ、なかなか患者さんの受診制限を解除できない日々が続いておりました。

そのような中、昨年下旬に当院で長らく務めていた事務長が退職しました。そこで私がこれまで事務長に全て任せていた医院全体の運用を考える機会を得たことで、現場を再確認することが出来、改めてシステムの導入が必要であると考えるようになりました。

ご意見箱にもコロナ禍後から「インターネットで予約ができるようにしてほしい」という意見が上がるようになっていました。当院でもここ数年、何度か検討を行ってきましたが、急激な変化はかかりつけ患者さんの多くを占める高齢者の方を混乱させます。80代以上の方に「これからはインターネットで順番をとってね」と言ってもできる方はごく少数で、多くの方に受け入れてもらえない懸念がありました。そのため私と事務長で受付システムについて相談を重ねてきましたが、ずっと尻込みして導入できなかったのです。そのようなシステムを気軽に入れることができる(患者層が若い)小児科の先生たちが羨ましくも思っていました。

私自身は、もともと医療はできるだけ公平であるべきだと考えております。インターネットなどのツールを使えば便利になるけれど、それに乗れない人を置き去りにしてしまうのではないかと、ずっと懸念を持っていました。しかし、実際の受付の現場をこの目で見て(恥ずかしながら受付は事務長に任せきりになっていました)、受診を制限されることで生じる不公平がより大きいものになっているという時代の変化を痛感したのです。

そして、昨年末から今年にかけて、数人の退職者が出たことで、人員補充とともにシステム導入し効率化を進める必要があると判断し、この方向に舵を切りました。

導入に向けて

導入を決め、改めて当院の流れを確認すると、いろいろな不合理や不要な手間があることに気づきました。

例えば受診目的の聴取です。
当院では以前は患者さんが受付を行うと、受付スタッフが受診理由を確認し、看護師が体調や経過を聴取し、診察室で医師が問診する、という流れでした。この3つは厳密には異なりますが、結果的に同じような回答を患者さんが3回答える形になり、患者さんにとっては何度も同じことを聴かれているような感覚になったでしょう。

コロナ禍前であれば、それは丁寧な診療と受け入れてもらえたスタイルかもしれませんが、この混雑し、制限まで設けている状況でそれをするのは、逆に無駄や非効率との誹りを免れません。

そこで、システム導入に向け、システムに合致する効率の良い導線やスタイルを考えました。問診は順番を取る際にネットで回答できるようにし、スタッフからの問診を極力減らすようにしています。

上記以外にも、受付から受診までの導線の根本的な見直しを行いました。

システム導入が、医院全体の運用の見直しにも役立ったと感じています。

まだ始めたばかり

システムはまだ走り始めたばかりです。

最初に書いた通り、まだ運用面で固まり切らない部分が多くあり、また導入できていないものも数おおくあります。

今後の大きな予定としては、待合や診察室前での番号表示の開始、かかりつけ患者さんのインターネット順番とり導入を決めています。

一気にやって患者さんを混乱させないよう、そして私たちも混乱し診療に支障を来たさないよう、万全を期しながら進めて参ります。

これからは私自身が前面で考え、試行錯誤を繰り返しながら、時代に見合った診療のシステムを組めることができれば良いと思っています。

そして、コロナ禍前のような、誰も断らない公平な医療機関に戻れるよう、努めてまいりたいと思っています。

今週はその第一歩。

患者さんの期待に応えられる医療機関を目指して、スタッフ一同努力してまいります。

理事長の日常

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